葵せきな先生書き下ろしTwitter小説
32【天道花憐と状態異常】9月14日 掲載
ゲスト挿絵イラスト「福岡太朗」さん
ある日の体育の授業中。たまたま見学休憩のタイミングが星ノ守さんと被った私は、思い切って彼女の隣に腰を下ろしてみた。
そうして折角なので、少し踏み込んだ質問を口にする。
「星ノ守さんって、どういう『タイプ』が好みなのかしら?」
私の質問に……星ノ守さんは、あっさりと答えてくる。
「『萌え』が薄くて硬派なソロプレイゲームです」
「ゲームの話じゃなくて」
「というと?」
「だからその……い、異性の話よ」
急に気恥ずかしくなってきて視線を逸らす私。
と、星ノ守さんもようやく私の質問の意図を理解してくれた様子で、途端にしどろもどろになりながら答えてきた。
「そ、そんな、異性の好みだなんて! 自分が語るのはおこがましいですよ!」
「いや語る権利ぐらい誰しもにあるでしょう」
呆れたように呟く私に、星ノ守さんは顔を赤らめて俯くと……数秒してから、ぽつりぽつりと語り出した。
「し、強いて言うならですね……」
「ええ」
「ケータ以外の全男性です」
「ストライクゾーン広っ!」
破格の回答に焦る私。
「もっと絞り込めませんかねぇ、貴女の好み!」
「じゃあじゃあ……で、出来れば人間で」
「どうして他種のオスがまだ選択肢に入ってたのよ! もっと絞っていいわよ!」
「連続殺人犯は……ちょっといやですね」
「でしょうねぇ!」
私は額に手を当て、嘆息の後、改めて質問をし直す。
「もっとこう……一般的範囲で、性格の好みとか聞かせて貰っていいかしら?」
「ケータ以外です」
「それは分かったから。他には?」
私の質問を、改めて検討する彼女。
その結果は……。
「えとえと……ゲームが好きな方が、いいかも、です……」
「なるほど。他には?」
「……腕前は自分と同じぐらいで……」
「ふむ」
「ゲーム感的に、出来れば同年代で……」
「ふむふむ」
「あと、インドア趣味で……」
ようやくエンジンがかかった様子で、次々に理想を語り出す星ノ守さん。
「その、あまり大きな方には、自分萎縮しちゃうかもです……。あとあと、なんというか、普通の人がいいですね。一緒にいて、落ち着く人が好きかもです」
「そ、そう……」
「あ、でもでも、概ね気が合っていても、自分と少しだけ意見違ってたりしてくれると、逆に毎日楽しいかもです!」
「…………」
お、おかしいわね。なぜか今私の中で、とある実在の人物イメージが組み上がっているのだけれど。気のせいかしら。
私の額に滲む脂汗にも気づかず、星ノ守さんは続ける。
「あ、最後にその……究極のワガママ言っちゃいますと、その、自分なんかが作ったゲームを心から楽しんでくれる人がいたら……その人こそ、最高の理想、でしょうかね」
「……へ、へぇ」
と、そうこうしている内に私が試合に出る番が回ってきました。
「で、では、星ノ守さん、ごきげんよう」
私は彼女にそう笑いかけて優雅にその場を立ち去ると。
――その日の試合で、なぜか、らしくないミスを連発したのでした。
そうして折角なので、少し踏み込んだ質問を口にする。
「星ノ守さんって、どういう『タイプ』が好みなのかしら?」
私の質問に……星ノ守さんは、あっさりと答えてくる。
「『萌え』が薄くて硬派なソロプレイゲームです」
「ゲームの話じゃなくて」
「というと?」
「だからその……い、異性の話よ」
急に気恥ずかしくなってきて視線を逸らす私。
と、星ノ守さんもようやく私の質問の意図を理解してくれた様子で、途端にしどろもどろになりながら答えてきた。
「そ、そんな、異性の好みだなんて! 自分が語るのはおこがましいですよ!」
「いや語る権利ぐらい誰しもにあるでしょう」
呆れたように呟く私に、星ノ守さんは顔を赤らめて俯くと……数秒してから、ぽつりぽつりと語り出した。
「し、強いて言うならですね……」
「ええ」
「ケータ以外の全男性です」
「ストライクゾーン広っ!」
破格の回答に焦る私。
「もっと絞り込めませんかねぇ、貴女の好み!」
「じゃあじゃあ……で、出来れば人間で」
「どうして他種のオスがまだ選択肢に入ってたのよ! もっと絞っていいわよ!」
「連続殺人犯は……ちょっといやですね」
「でしょうねぇ!」
私は額に手を当て、嘆息の後、改めて質問をし直す。
「もっとこう……一般的範囲で、性格の好みとか聞かせて貰っていいかしら?」
「ケータ以外です」
「それは分かったから。他には?」
私の質問を、改めて検討する彼女。
その結果は……。
「えとえと……ゲームが好きな方が、いいかも、です……」
「なるほど。他には?」
「……腕前は自分と同じぐらいで……」
「ふむ」
「ゲーム感的に、出来れば同年代で……」
「ふむふむ」
「あと、インドア趣味で……」
ようやくエンジンがかかった様子で、次々に理想を語り出す星ノ守さん。
「その、あまり大きな方には、自分萎縮しちゃうかもです……。あとあと、なんというか、普通の人がいいですね。一緒にいて、落ち着く人が好きかもです」
「そ、そう……」
「あ、でもでも、概ね気が合っていても、自分と少しだけ意見違ってたりしてくれると、逆に毎日楽しいかもです!」
「…………」
お、おかしいわね。なぜか今私の中で、とある実在の人物イメージが組み上がっているのだけれど。気のせいかしら。
私の額に滲む脂汗にも気づかず、星ノ守さんは続ける。
「あ、最後にその……究極のワガママ言っちゃいますと、その、自分なんかが作ったゲームを心から楽しんでくれる人がいたら……その人こそ、最高の理想、でしょうかね」
「……へ、へぇ」
と、そうこうしている内に私が試合に出る番が回ってきました。
「で、では、星ノ守さん、ごきげんよう」
私は彼女にそう笑いかけて優雅にその場を立ち去ると。
――その日の試合で、なぜか、らしくないミスを連発したのでした。