葵せきな先生書き下ろしTwitter小説

26【上原祐と性別チェンジ1】8月3日 掲載

ゲスト挿絵イラスト「しろがね」さん

「僕がもし女の子だったら、確実に上原君に惚れてるよなぁ」
 ある日の放課後、ゲーム同好会前のタイミングで、雨野がゾッとするような話題を振ってきた。
 俺は額に汗を滲ませながら返す。
「やめろよ……きめぇな……」


 ドン引きの俺に対し、雨野は嬉々として続けて来る。
「や、だって、惚れない理由がないじゃない。上原君イケメンだし、僕に親身になってくれるし、優しいし……」
「なにこれ。悪夢?」
「正直尽くすよね、僕」
「確定。悪夢だこれ」


 俺はいつの間に寝たのだろう。自らの頬を強めにつねっている間にも、雨野は続けて来る。
「ただ、あたい、雨野景子は幸せではない気もする」
「一人称どうした」
「上原君は浮気繰り返すからなぁ」
「さてはお前、俺が好きじゃねぇな?」


「最終的には雨野景子、上原君を刺すとこまで行く気がする」
「お前はこの話をどこに着地させようとしてんの?」
「そして、その心臓を食べて、ケラケラと笑うんだよ」
「俺はどういう気持ちでこの話を聞くべきなの?」


「……いやはや、僕、やっぱり女の子じゃなくて良かったよ」
「ホントだよ! というか出来ればその仮定も聞きたくなかったよ!」
「まあそもそも僕は、女の子化とかするまでもなく上原君大好きだけどね」
「いやぁぁぁぁぁぁぁああ!」
 なにこの地獄。


 俺がげんなりとしていると、雨野は申し訳なさそうに笑ってきた。
「あはは……ごめんごめん。悪ノリしすぎた」
「勘弁しろよな、マジで……」
「ごめんって。もうこの話はやめるからさ」
 雨野のその言葉に、ほっと胸をなで下ろす俺。


 が……雨野はそのまま、流れるように、笑顔で次の話題を振ってきた。
「で、逆に、上原君が女の子だった場合だけどさ……」
「…………」
 どうやらこの悪夢は、まだ、もう一ターンだけ続くようだ。
  • < Prev
  • List
  • Next >