葵せきな先生書き下ろしTwitter小説

27【上原祐と性別チェンジ2】8月10日 掲載

ゲスト挿絵イラスト「naru//」さん

「上原君がもし女の子だったら、僕は……」
 またも放課後、教室で気持ち悪い話題を振ってくる雨野。
 俺はもう諦めて、テキトーに流すことにした。
「はいはい、惚れるってんだろう? もういいよ、それで」
 いや、まぁ、良くねぇけどさ。


 俺のぞんざいな対応に、しかし雨野は……複雑な表情で、意外な言葉を返してきた。
「いや……どうだろう。多分苦手なんじゃないかなぁ、僕。祐子さんのこと」
「女版の俺の名前を勝手に決めるなよ」
 しっくり来てるけどさ、ゆうこ。


 雨野が続けて来る。
「祐子さんは、ほら、バンバン男作ってはすぐ乗り換える、、すげーチャラい女子なわけでしょ?」
「お前俺のことホントは嫌いだろう。なぁ?」
「……そんな祐子さんと友達になれる自信、僕、ないわぁ……」


「俺は今のお前と友達でいる自信さえなくし始めてるけどな!」
 俺のツッコミにも構わず、雨野はさらに妄想を深める。
「となると、上原君の交際しているアグリさんは……」
「ああ……男版亜玖璃か……」
 釣られて俺も想像する。結果……。


『……苦手かもしれない』
 今度は、俺と雨野の感想がかぶった。雨野がげんなりと続けた。
「浮気性の祐子さん一筋の、ギャル男とか……」
「……なんだろう、自分で言うのもなんだが、うちのカップルの末期感やべぇな」


 二人、げんなりとしてしまう。と、空気を変えようと雨野が話を切り替えてきた。
「でも天道さんの男版は、正直見たいよね。きっと勇者じみたイケメンだよ」
「ああ確かに。ついでに、星ノ守の男版は……あ、目の前にいるか」
「し、失敬な!」


 こうして考えてみると、案外「男女逆転妄想」は楽しい。
 俺達は夢中になってゲーム同好会の逆転妄想を語り続けた。
 やれ天道はムッツリスケベっぽいだの、亜玖璃はピアス多そうだの、星ノ守は陰キャ成分マシマシな気がするだの。


 そうして、ふと気付いた時には……。
『……あ』
 俺と雨野は、いつの間にか集まっていた女性メンバー達に、不穏な笑顔で見下ろされていたのだった。
 …………。
 この後の惨劇については、ここじゃとても語れないので、あしからず。
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