葵せきな先生書き下ろしTwitter小説
4【上原祐と高校デビュー】6月16日 掲載
ゲスト挿絵イラスト「57」さん
ある日の帰り道。カノジョたる亜玖璃が俺の隣を歩きながら「そういえばさ」と何気なく切り出してきた。
「祐の『高校デビュー』って、具体的に何を心がけたの?」
「なんだ突然」
「や、あまのっち改造の参考になるかなと」
「なるほど、それはいいかもな」
亜玖璃の言葉に納得した俺は、腕を組み《リア充師範》としての威厳を醸し出す。
上目遣いで俺を見つめるカノジョに、俺は、厳かに切り出した。
「まず、『小生』という一人称をやめた」
「亜玖璃が思ってた以上に痛かったねっ、うちの彼氏!」
「や、流石に普段から使ってはいなかったけどな。興がノるとつい……」
「どういうテンションなのさそれ……」
「代わりに何かと言うと『うぇーいw』と叫ぶのを心がけた」
「浅い! リア充のイメージがとんでもなく浅いよ、祐!」
「今思えば、あの頃の雅也や大樹、よく苦笑いしてたなぁ……懐かしいぜ」
「祐は友達に深く感謝した方がいいよ、ホント!」
「あと、ゲームから離れた代わりに、サーフィン始めたりな」
「さ、サーフィン? どこで? この辺、海は近くにな――」
「市民プールでだよ」
「もはや奇行だよ! 波出る施設とかないよねぇ、あそこ!」
「ああ。だから主に『大きなビート板』扱いで遊んだ」
「もうリア充の定義が分からない!」
「結果……地元の子供達から『ボード兄さん』と親しまれ大人気になってな」
「なんか意外な急展開始まった!?」
「そうして子供達と遊んだり親御さん達と喋ってる間に、俺のコミュニケーション能力はぐんぐん発達。今の俺が完成したわけだ」
「…………」
俺の話を聞き終えた亜玖璃が、無言で俺を見つめていた。……ふ、どうやら俺の華麗なる「リア充レクチャー」に感銘を受けたようだ。
俺は前髪を掻き上げて、我がカノジョに訊ねた。
「どうだ? いいんだぞ、早速この《リア充神話》を雨野に聞かせてやっても――」
「や、結構」
そう断った亜玖璃の表情は、俺がかつて見たこともない程の真顔だった。
「祐の『高校デビュー』って、具体的に何を心がけたの?」
「なんだ突然」
「や、あまのっち改造の参考になるかなと」
「なるほど、それはいいかもな」
亜玖璃の言葉に納得した俺は、腕を組み《リア充師範》としての威厳を醸し出す。
上目遣いで俺を見つめるカノジョに、俺は、厳かに切り出した。
「まず、『小生』という一人称をやめた」
「亜玖璃が思ってた以上に痛かったねっ、うちの彼氏!」
「や、流石に普段から使ってはいなかったけどな。興がノるとつい……」
「どういうテンションなのさそれ……」
「代わりに何かと言うと『うぇーいw』と叫ぶのを心がけた」
「浅い! リア充のイメージがとんでもなく浅いよ、祐!」
「今思えば、あの頃の雅也や大樹、よく苦笑いしてたなぁ……懐かしいぜ」
「祐は友達に深く感謝した方がいいよ、ホント!」
「あと、ゲームから離れた代わりに、サーフィン始めたりな」
「さ、サーフィン? どこで? この辺、海は近くにな――」
「市民プールでだよ」
「もはや奇行だよ! 波出る施設とかないよねぇ、あそこ!」
「ああ。だから主に『大きなビート板』扱いで遊んだ」
「もうリア充の定義が分からない!」
「結果……地元の子供達から『ボード兄さん』と親しまれ大人気になってな」
「なんか意外な急展開始まった!?」
「そうして子供達と遊んだり親御さん達と喋ってる間に、俺のコミュニケーション能力はぐんぐん発達。今の俺が完成したわけだ」
「…………」
俺の話を聞き終えた亜玖璃が、無言で俺を見つめていた。……ふ、どうやら俺の華麗なる「リア充レクチャー」に感銘を受けたようだ。
俺は前髪を掻き上げて、我がカノジョに訊ねた。
「どうだ? いいんだぞ、早速この《リア充神話》を雨野に聞かせてやっても――」
「や、結構」
そう断った亜玖璃の表情は、俺がかつて見たこともない程の真顔だった。