葵せきな先生書き下ろしTwitter小説
1【亜玖璃とファミレス会議】6月13日 掲載
ゲスト挿絵イラスト「凡」さん
「そもそも、趣味がゲームって時点でアウトだよね、あまのっちって」
今日も今日とて、ファミレスにてアグリさんが脈絡なく絡んできた。
僕はそれに真顔で切り返す。
「え、いきなりそんな僕の物語全否定みたいな切り口から入ります?」
アグリさんがポテトで僕の顔を指しながら続けて来る。
「ただでさえ『なよなよ系草食男子でございます』みたいなビジュアルしてんのに、そこに加えて『ゲームが趣味』って……もう、アレじゃん」
「なんですか」
「没個性主人公」
「や、そんな、主人公だなんて、照れますよ」
「今のニュアンスを褒め言葉として受け取れるんだ、あまのっちって!」
「ま、僕のことはどうでもいいとして、ゲーム趣味批判は聞き捨てなりませんね」
「怒るポイントおかしくない?」
「そりゃ僕はアグリさんの言うように、キモオタクソ野郎ですよ」
「言ってないけど」
「主人公の大活躍に対して『すごいなぁ』の一言も言えれば御の字のモブキャラ男子ですよ!」
「そろそろ『趣味』方面に話を戻していいかな、あまのっち」
アグリさんの白けた態度にハッとした僕は咳払いの後仕切り直す。
「じゃあ、アグリさん的には、僕の趣味がなんだったら良かったんですか」
「そうそう、それなんだけどね」
アグリさんはしなびたポテトを自らの口に放り込むと、笑顔で告げてきた。
「農業だよね」
「確かに意外な趣味だ! キャラも一気に立った感あるけども!」
「そんなあまのっちを主人公としたTVアニメ『ファーマーズ!』は、毎週朝五時から地方のケーブルテレビにて放映予定!」
「なんか放映環境まで健康的だ!」
「というわけで、あまのっち、今からでも趣味を農業にする気はない?」
「ないですね」
「ありゃ即答。そんなに肉体労働いやだった?」
「そうじゃなくて。僕はやっぱり……どうしようもなく、ゲームが、好きなんで」
僕の回答に、アグリさんは……なぜか柔らかく微笑み、そして、ぐでーっとテーブルに伏した。
「あーあ、どうしてその『男らしさ』が、少しだけでも女性相手に出ないかねぇ、あまのっち」
「うぐ……」
アグリさんの指摘に詰まる僕。
「……やっぱり、趣味じゃなくて、問題なのはあまのっちの人格そのものか……」
「や、だから、僕の全否定から入るのやめませんか、アグリさん?」
というわけで。
今日も今日とて、僕らの不毛なファミレス会議は続いていくのだった。
今日も今日とて、ファミレスにてアグリさんが脈絡なく絡んできた。
僕はそれに真顔で切り返す。
「え、いきなりそんな僕の物語全否定みたいな切り口から入ります?」
アグリさんがポテトで僕の顔を指しながら続けて来る。
「ただでさえ『なよなよ系草食男子でございます』みたいなビジュアルしてんのに、そこに加えて『ゲームが趣味』って……もう、アレじゃん」
「なんですか」
「没個性主人公」
「や、そんな、主人公だなんて、照れますよ」
「今のニュアンスを褒め言葉として受け取れるんだ、あまのっちって!」
「ま、僕のことはどうでもいいとして、ゲーム趣味批判は聞き捨てなりませんね」
「怒るポイントおかしくない?」
「そりゃ僕はアグリさんの言うように、キモオタクソ野郎ですよ」
「言ってないけど」
「主人公の大活躍に対して『すごいなぁ』の一言も言えれば御の字のモブキャラ男子ですよ!」
「そろそろ『趣味』方面に話を戻していいかな、あまのっち」
アグリさんの白けた態度にハッとした僕は咳払いの後仕切り直す。
「じゃあ、アグリさん的には、僕の趣味がなんだったら良かったんですか」
「そうそう、それなんだけどね」
アグリさんはしなびたポテトを自らの口に放り込むと、笑顔で告げてきた。
「農業だよね」
「確かに意外な趣味だ! キャラも一気に立った感あるけども!」
「そんなあまのっちを主人公としたTVアニメ『ファーマーズ!』は、毎週朝五時から地方のケーブルテレビにて放映予定!」
「なんか放映環境まで健康的だ!」
「というわけで、あまのっち、今からでも趣味を農業にする気はない?」
「ないですね」
「ありゃ即答。そんなに肉体労働いやだった?」
「そうじゃなくて。僕はやっぱり……どうしようもなく、ゲームが、好きなんで」
僕の回答に、アグリさんは……なぜか柔らかく微笑み、そして、ぐでーっとテーブルに伏した。
「あーあ、どうしてその『男らしさ』が、少しだけでも女性相手に出ないかねぇ、あまのっち」
「うぐ……」
アグリさんの指摘に詰まる僕。
「……やっぱり、趣味じゃなくて、問題なのはあまのっちの人格そのものか……」
「や、だから、僕の全否定から入るのやめませんか、アグリさん?」
というわけで。
今日も今日とて、僕らの不毛なファミレス会議は続いていくのだった。