葵せきな先生書き下ろしTwitter小説

11【星ノ守千秋と萌え談議】6月27日 掲載

ゲスト挿絵イラスト「かがちさく」さん

「やっぱり萌え要素っていいと思うんだよね」
 ある日の放課後。期せずして二人きりで行われることになったゲーム同好会において、ケータが喧嘩をふっかけてきました。
 自分は目を細めて切り返します。
「良くないです。滅ぶべきです」


「滅ぼさないでよ。萌えが消えたら、ラノベの八割ぐらいも消えちゃうよ?」
「望むところです」
「望まないでよ。鬼かよ」
「逆に逆に、自分はケータにこう言いたいですね。本当に面白い作品は、萌えを廃したところで、問題もなく面白いのだと」


「それは暴論じゃ……」
「し○かちゃんの容姿がジャ○子とうり二つでも、ドラ○もんは全く問題ありません」
「大ありだよ! 根幹がグラグラだよ!」
「タ○チの浅○南のガタイが良くても問題ありません」
「それはもう地獄のミサ○だよ!」


「逆に萌えを追加することは、全てにおいて蛇足でしかないのです」
「それも暴論じゃ……」
「バ○コさんが女の顔を見せるアンパ○マンを誰が見たいのですか!」
「確かに! 仄かにオタサーの姫感が出るね!」


「このように、萌えが滅んでもこの世界には好影響しかないのです」
 自分の講義が終わったところで、ケータが「あ、でも」と切り返してくる。
「萌えが滅んだら、チアキの顔だって影響受けるんじゃ?」
「え?」
「え?」
 二人、キョトンと見つめ合います。そのまま、何秒が過ぎたでしょうか。


『…………!』
 互いにその言葉の意味するところに同時に気づいてしまい頬が赤く染まります。
「きょ、今日は解散しようか、チアキ」
「で、ですねですね!」
 結局、今回の萌え談議も、決着つかずのまま終了したのでした。
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