葵せきな先生書き下ろしTwitter小説

10【魔法少女マジカル☆カレン】6月26日 掲載

挿絵

ゲスト挿絵イラスト「na-ru//」さん

 ゲーマー達の負の想念が集まり現れる邪悪な存在・バグル。
 ヤツらから人々を守るため、今、一人のゲーマーが立ち上がる。
 その名は――魔法少女マジカル☆カレン!
『第一話 チュートリアル』


「ボクと契約して、魔法少女になってよ」
 謎の白キツネ型魔法生物・コン太にそう持ちかけられた時。
 私は少し思案してから、こう答えた。
「スコアアタック要素があるなら」
「スコアアタック要素があるなら!?」


「え、ないのですか、スコアアタック」
「むしろなぜある前提なのかな!? スコアとかないから!」
「では一体、何を目的に魔法少女をやれと?」
「街の平和だよ!」
「滾りませんね……」
「滾ろうよ! キミに正義感はないの!?」


「正義感はありますけど、それを指先で握り潰す程の修羅もまた、私の中にいるのです」
「……なんでボクはこの子に声をかけちゃったかなぁ」
「どうしてなのですか?」
「え? 魔法少女の力の根源、『芸魔力』が極めて高かったからだけど……」


「ふむ。つまり、私は最初から強キャラと。……滾らないですねぇ」
「滾るか滾らないか基準で考えるのやめてくれる?」
「私の初期能力値下げて貰うことって出来ますか?」
「出来ないよ! 出来てもやらないよ!」


「ではやはりお断りさせて頂きます」
「拒絶理由に全く納得がいかない!」
 コン太の脇をすり抜け帰路につこうとする私。
 しかしその刹那、「ぼふーん」というどこか暢気な爆発音が辺りに響き渡った。


 音のした方を振り向くと、ピンクの爆煙の中から逃げてきた人々の姿が。
 彼らは口々に語る。
「わー、なんか妙な怪物が街で暴れてるぞー!」
「その怪物に、ゲームに熱中してた鈍くさい男子高校生が捕まったぞー!」
 …………。


「やるわコン太。私、魔法少女に、なる」
「急に!? 滾らないんじゃ!?」
「雨野く……人を颯爽と助けられる。それで滾る理由は充分よ!」
「よく分からないけど、じゃあ契約だ!」
 ――魔法少女マジカル☆カレン誕生の瞬間であった。
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