葵せきな先生書き下ろしTwitter小説
18【花憐と亜玖璃2】7月6日 掲載
ゲスト挿絵イラスト「明地雫」さん
期せずして放課後の教室に二人きりになってしまった私と亜玖璃さん。
微妙な関係の……それも趣味がまるで合わない知り合い二人きりという、一種の地獄と、私達は未だに戦い続けていた。
この空気を打開すべく、私は今一度、会話を試みる。
「亜玖璃さんって、何か趣味はあるんでしたっけ?」
「趣味? うーん……『あまのっちいじり』かな」
「なんですかその趣味」
「あと、『あまのっち壊し』と『あまのっち崩し』もかな」
「うちの彼氏さんは何されているんですか!」
「あ、勘違いしないでね天道さん。亜玖璃はあまのっちのこと、無料の暇つぶしアプリぐらいにしか思ってないからさ」
「ある意味余計救いがないのですが! もう少し雨野君に優しく……」
「じゃあ今度ほっぺにチューでもしとくね」
亜玖璃さんの発言を受け、私は笑顔のまま無言で空のアルミ缶を握り潰す。
亜玖璃さんは額に汗を滲ませながら続けてきた。
「じょ、冗談だよ、冗談」
「ですよね」
ニパっと笑んで缶を離す私。側面には指の痕がくっきりと残っていた。
と、今度は亜玖璃さんが訊ねてきた。
「天道さんってさ、ゲーム以外に趣味ないわけ?」
「……現在思い当たるのは、一つですね」
「なに?」
「『雨野君いじり』です」
「どっかで聞いた回答だ!」
「勘違いしないで下さい亜玖璃さん。私の言う『雨野君いじり』は、貴女みたいに業の深い所業じゃありません」
「そうなの?」
「ええ。私の言うそれは……実物じゃなく、空想の雨野君を私の中でいじり倒すことです!」
「業が深いよ!」
椅子から立ち上がってツッコむ亜玖璃さん。
そうして睨み合うカタチになってしまっているところに、突然、雨野君だけが戻ってきた。
彼は私達の妙な空気に興味を抱いた様子で訊ねてくる。
「二人で何話してたんですか?」
そんな彼の質問に。
私達は頬を赤らめ、目を見合わせてから、返す。
『あまのっち(雨野君)には関係ないっ! あっち行ってて!』
「ええ!?」
こうして、二人きりの同好会は――彼の一人負けというカタチで、その幕を閉じたのだった。
微妙な関係の……それも趣味がまるで合わない知り合い二人きりという、一種の地獄と、私達は未だに戦い続けていた。
この空気を打開すべく、私は今一度、会話を試みる。
「亜玖璃さんって、何か趣味はあるんでしたっけ?」
「趣味? うーん……『あまのっちいじり』かな」
「なんですかその趣味」
「あと、『あまのっち壊し』と『あまのっち崩し』もかな」
「うちの彼氏さんは何されているんですか!」
「あ、勘違いしないでね天道さん。亜玖璃はあまのっちのこと、無料の暇つぶしアプリぐらいにしか思ってないからさ」
「ある意味余計救いがないのですが! もう少し雨野君に優しく……」
「じゃあ今度ほっぺにチューでもしとくね」
亜玖璃さんの発言を受け、私は笑顔のまま無言で空のアルミ缶を握り潰す。
亜玖璃さんは額に汗を滲ませながら続けてきた。
「じょ、冗談だよ、冗談」
「ですよね」
ニパっと笑んで缶を離す私。側面には指の痕がくっきりと残っていた。
と、今度は亜玖璃さんが訊ねてきた。
「天道さんってさ、ゲーム以外に趣味ないわけ?」
「……現在思い当たるのは、一つですね」
「なに?」
「『雨野君いじり』です」
「どっかで聞いた回答だ!」
「勘違いしないで下さい亜玖璃さん。私の言う『雨野君いじり』は、貴女みたいに業の深い所業じゃありません」
「そうなの?」
「ええ。私の言うそれは……実物じゃなく、空想の雨野君を私の中でいじり倒すことです!」
「業が深いよ!」
椅子から立ち上がってツッコむ亜玖璃さん。
そうして睨み合うカタチになってしまっているところに、突然、雨野君だけが戻ってきた。
彼は私達の妙な空気に興味を抱いた様子で訊ねてくる。
「二人で何話してたんですか?」
そんな彼の質問に。
私達は頬を赤らめ、目を見合わせてから、返す。
『あまのっち(雨野君)には関係ないっ! あっち行ってて!』
「ええ!?」
こうして、二人きりの同好会は――彼の一人負けというカタチで、その幕を閉じたのだった。