葵せきな先生書き下ろしTwitter小説
24【亜玖璃と恋愛シミュレーション】7月19日 掲載
ゲスト挿絵イラスト「暮浦鶏太」さん
「あまのっちってさ、亜玖璃を攻略しようとしてんの?」
いつものファミレス会にて、突如アグリさんがドギツイ質問を投げてきた。
僕は炭酸飲料を一瞬吐きそうになりながらも、どうにか訊ね返す。
「な、なんですか、藪から棒に」
「いや、今ネットでこんなの見ててさ」
そう言って自らのスマホをこちらに向けてくるアグリさん。そこには、とある恋愛シミュレーションゲームの攻略記事があった。
「祐が最近やってるみたいなの、このゲーム」
「ああ、僕が薦めましたから」
アグリさんは僕をギロリと一度睨んでくるも、それ以上怒ることもなく、話の先を続けてきた。
「で、これって、狙ったヒロインのいる場所に何度も行くと、結ばれるらしいじゃん」
「まあ、そうですね」
「つまりあまのっちも、亜玖璃狙い?」
「違います」
速攻で否定する僕。が、アグリさんは自らの肩をかき抱いて怯えながら僕を見る。
「亜玖璃とあまのっちのファミレス会議数的に、もうこれ、絶対亜玖璃ルートじゃん」
「だから違いますって」
「だってこの攻略記事には、同じヒロインと七回程度イベント発生させたら、キスまで行けるって書いてあるよ」
「書いてますね」
「じゃあ亜玖璃……そろそろあまのっちの子を産まなきゃじゃん!」
「邂逅回数的にはそうかもですけど!」
「ひっく……やだよぉ……ひっく」
「ちょ、何泣いているんですか!? 周囲の目が! 僕が泣きたい!」
「あまのっちが、無責任に……何も知らない亜玖璃と、何回も……」
「お茶しただけですよねぇ!?」
「まさかそれで孕むなんて……」
「ホントにまさかですよ! というか、ヒロインとの邂逅回数だけで親密度上がるのは、ゲームだけの話ですから!」
「だよね。だって亜玖璃、あまのっちのこと未だにキモいと思ってるもんね」
「それはそれで傷つきますけど、そういうことです」
馬鹿話を終えた僕らは、無言でスマホをいじりだす。
――と、アグリさんが下を向いたままぽつりと漏らしてきた。
「……ホントに良かったよ。この世界が、ゲームじゃなくてさ」
「……ですね」
僕らの関係は、今日も、変わらない。
いつものファミレス会にて、突如アグリさんがドギツイ質問を投げてきた。
僕は炭酸飲料を一瞬吐きそうになりながらも、どうにか訊ね返す。
「な、なんですか、藪から棒に」
「いや、今ネットでこんなの見ててさ」
そう言って自らのスマホをこちらに向けてくるアグリさん。そこには、とある恋愛シミュレーションゲームの攻略記事があった。
「祐が最近やってるみたいなの、このゲーム」
「ああ、僕が薦めましたから」
アグリさんは僕をギロリと一度睨んでくるも、それ以上怒ることもなく、話の先を続けてきた。
「で、これって、狙ったヒロインのいる場所に何度も行くと、結ばれるらしいじゃん」
「まあ、そうですね」
「つまりあまのっちも、亜玖璃狙い?」
「違います」
速攻で否定する僕。が、アグリさんは自らの肩をかき抱いて怯えながら僕を見る。
「亜玖璃とあまのっちのファミレス会議数的に、もうこれ、絶対亜玖璃ルートじゃん」
「だから違いますって」
「だってこの攻略記事には、同じヒロインと七回程度イベント発生させたら、キスまで行けるって書いてあるよ」
「書いてますね」
「じゃあ亜玖璃……そろそろあまのっちの子を産まなきゃじゃん!」
「邂逅回数的にはそうかもですけど!」
「ひっく……やだよぉ……ひっく」
「ちょ、何泣いているんですか!? 周囲の目が! 僕が泣きたい!」
「あまのっちが、無責任に……何も知らない亜玖璃と、何回も……」
「お茶しただけですよねぇ!?」
「まさかそれで孕むなんて……」
「ホントにまさかですよ! というか、ヒロインとの邂逅回数だけで親密度上がるのは、ゲームだけの話ですから!」
「だよね。だって亜玖璃、あまのっちのこと未だにキモいと思ってるもんね」
「それはそれで傷つきますけど、そういうことです」
馬鹿話を終えた僕らは、無言でスマホをいじりだす。
――と、アグリさんが下を向いたままぽつりと漏らしてきた。
「……ホントに良かったよ。この世界が、ゲームじゃなくてさ」
「……ですね」
僕らの関係は、今日も、変わらない。