葵せきな先生書き下ろしTwitter小説

20【上原祐と友達紹介2】7月10日 掲載

ゲスト挿絵イラスト「Dra」さん

「じゃあさ、あの天道花憐って実際んとこ、どうなんだよ」
 級友の雅也がそんな質問を繰り出してきたのは、珍しく二人で下校した日のことだった。
 前回同様、俺は少し考えてから、それに返す。
「ゲームで喩えるなら、勇者だな」


「勇者? お姫様じゃなくてか?」
「そりゃビジュアル的にはお姫様だけど『助けられる側』って意味でのヒロインってガラじゃあ、ねぇな」
「ああ、むしろ勇者の器ってか?」
「だな。ま、いい意味だけでもねーけど」
「?」


「勇者は勇者でも、昔ながらの勇者タイプなんだよ、天道は。『はい』か『いいえ』だけで物事考える上に、その存在自体が絶対正義、みたいな」
「……それ褒めてね?」
「雅也。お前、ガチ勇者の友達ほしいか?」
「……あー」


 雅也が遠い目をする。俺は続けた。
「そしてなにより……その行動指針に、村人Dの影響をモロに受けるのも、勇者だ」
「勇者が村人に振り回されんのかよ」
「勇者も結局は誰かの指示待ちみたいなとこあるからな」
「村人D大勝利すぎるだろ」


 雅也は呆れたように続けてくる。
「天道花憐は、それでいいのかよ?」
 雅也のそんな疑問に。
 俺は思わず苦笑いしつつ、返したのだった。
「少なくとも、RPGは多少振り回されるぐらいが、楽しいわな」
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